【一問一答】復帰50年の沖縄、首相が語ったこととは?所得や貧困、基地の負担軽減に言及


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首相官邸(資料写真)

 ―沖縄政策を日本政府としてどう総括するか。

 「復帰以降の政府の沖縄振興、県民のたゆまぬ努力もあり、県内総生産が全国を上回る伸びを見せている。沖縄経済は着実に成長したが、全国最下位の1人当たり県民所得や子どもの貧困問題など、なお解決すべき課題が存在している」

 「政府は、『屋良建議書』に示された意見も含め、さまざまな意見を受け止めながら沖縄の発展のために取り組んできた。基地負担の軽減に一つ一つ取り組み、結果を出す。改正沖縄振興特別措置法を始めとする政策手段を最大限に駆使しながら、沖縄振興策を総合的・積極的に推進する」

 ―広大な米軍基地が残る現状は変わらない。

 「北部訓練場の過半の返還を実現したほか、『沖縄統合計画』に基づき県中南部の土地の返還を着実に推進しているが、今もなお沖縄の皆さまには大きな基地負担を背負っていただいている。到底是認できるものではなく、引き続き、基地負担の軽減に取り組む」

 ―復帰75年、100年の沖縄の姿をどう描くか。

 「アジアの玄関口に位置する地理的特性、日本一高い出生率などの優位性・潜在力を生かしながら、課題を克服していく事が重要だ。これからも沖縄の皆さまの心に寄り添い、ご意見をお伺いしながら基地負担軽減、沖縄振興に取り組む」

 ―日米地位協定の抜本改定は。

 「同協定は大きな法的枠組みであり、政府として事案に応じて最も適切な取り組みを通じ、具体的な問題に対応してきている。外相として、環境補足協定および軍属補足協定を策定し、迅速な対応を可能とした。日米地位協定についてはさまざまな意見があることは承知しているが、今後とも、目に見える取り組みを一つ一つ積み上げていく」

 ―米軍普天間飛行場の辺野古移設について。

 「日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせた時、辺野古移設が唯一の解決策だ」

 ―鉄軌道について。

 「事業効率性などの課題があり、直ちに事業化を決定する段階にない。他方、沖縄本島北部が世界自然遺産に登録され、北部テーマパークの開業も予定されるなど、需要の増加につながる動きがみられる。こうした点を勘案し、引き続き調査・検討を進める」

 ―沖縄の新型コロナ対策について。

 「影響は経済全体に及んでいる。ワクチン接種の促進や医療体制の維持・確保に努めながら、地方創生臨時交付金や一括交付金制度を活用し、地元の取り組みを支援していく」(聞き手 安里洋輔)