韓国で出版相次ぐ 大城貞俊さんの小説、今年も3編


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「チムグリサ沖縄」など3編が掲載された作品選集(左)、韓国語版の『椎の川』(中央)、日本現代文学の選集

 作家の大城貞俊さんの小説が近年、相次いで韓国語に翻訳され、出版されている。2019年に日本の複数の作家が作品を寄せた『日本現代文学選』に「K共同墓地死亡者名簿」が韓国語で掲載され、20年には『椎の川』が単行本として翻訳、出版された。今年に入って出版された作品選集に「一九四五年チムグリサ沖縄」「慶良間や見いゆしが」「彼岸からの声」の3編が翻訳、掲載されている。

 大城さんは「国際化の時代で沖縄から土地の記憶、歴史、文化を東アジア、そして世界に発信できる。若い表現者の励みになれば幸いだ」と話している。

 日本文学を研究する研究者らの誘いでこれまでに複数回、韓国を訪れて講演したりシンポジウムに参加したりした。「日本文学を研究する上で、沖縄文学にぶつかることは避けられない面があるのだろう。また韓国と沖縄には歴史的に似通った点もある」と話す。

 翻訳された作品群について「命の尊さ、弱い者に焦点を当て、沖縄で生きる意味を問う作品だ。沖縄から発信された言葉を、世界に共有することにつながると思う」と語る。

 これまでに沖縄の作家では芥川賞作家の大城立裕さん、又吉栄喜さんらの作品が韓国語に翻訳され、出版や雑誌掲載されている。