タマネギ「高くて手が出せない」去年の2倍に 沖縄の食卓も直撃…価格高騰の理由は


社会
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価格が高騰しているタマネギ=9日、浦添市のサンエー経塚シティ

 食卓に欠かせないタマネギの価格が、生産地の不作などにより高騰している。沖縄協同青果によると、タマネギ20キロの取引価格は通常2千円~2500円だが、昨今は5500円程度と2倍以上になっている。先週は一時的に1万円にまで跳ね上がった。小売価格にも影響している。「高くて手が出せない」「献立の幅が狭まった」―。家計を直撃する状況が長引く中、消費者からは悲痛の声が漏れ聞こえる。

 タマネギの高騰は昨秋以降続いている。主な原因は全国生産量の65%を占める北海道が昨年、記録的な干ばつと高温に見舞われ農作物が不作となり、全国的に引き合いが強まったため。長期化する新型コロナ禍の影響で中国などから輸入品が入ってこないことも価格を押し上げている要因だ。

 沖縄協同青果によると、3月の県外産入荷数量は前年同期比50%減の132トン、4月は同37%減の158トン、5月は9日時点で同48%減の25トンと、いずれも前年度を大幅に下回った。取引単価も前年対比130~210%で推移している。

 県内スーパー最大手のサンエーでは9日、佐賀や熊本県産のタマネギ2個入りを税抜き298円で販売した。担当者によると、例年なら北海道産の後続として春先から佐賀県産が出回るが、今年は佐賀県産も出足が遅く出荷数が少ないことから「価格は去年の1・5倍~2倍になっている」という。イオン琉球も状況はほぼ同じで、担当者は「北海道産のジャガイモも例年より高値になっている」と説明する。

 沖縄協同青果野菜部の野原文彦部長は、新型コロナの影響で外食産業や学校給食の需要が例年より少なかった分、値上げ幅は2倍程度で収まったとして「社会活動が通常に戻っていたらもっと高くなっていたはずだ」と分析した。最近は佐賀を中心に九州産の流通が活発に動き出してきたとし「6月には例年並みの価格に戻るだろう」との見通しを示した。(当銘千絵)