「国民の皆さん、沖縄は本日、祖国に復帰しました」50年前の政府声明文【全文】


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 国民の皆さん、沖縄は本日、祖国に復帰いたしました。心からこれを喜びたいと思います。顧みれば戦後27年に及ぶ沖縄の祖国復帰への道のりは長く、まことに困難なものでありました。その間、あらゆる苦難にたえ、たゆまぬ努力を続けてこられた百万同胞のご労苦をねぎらうとともに、きびしい国際情勢のなかでよくこのことをなしとげられた国民各位に対し、心から敬意を表するものであります。

 沖縄列島は、いにしえから、わが国と東南アジアや中国大陸を結ぶ接点ともいうべき役割を果たしてまいりました。この周辺において東西の多くの文化が相互に影響しあったのであります。このように重要な位置を占めている沖縄が、今日わが国に復帰したことは、われわれ日本国民の国際的責任と役割をいっそう大きなものとするとともに、わが国の将来に新しい展望を与えるものであります。沖縄を平和の島とし、わが国とアジア大陸、東南アジア、さらにひろく太平洋圏諸国との経済的、文化的交流の新たな舞台とすることこそ、この地に尊い生命をささげられた多くの方々の霊を慰める道であり、沖縄の祖国復帰を祝うわれわれ国民の誓いでなければならないと信ずるものであります。

 沖縄には美しい自然と豊かな文化があります。政府は、沖縄の自然と文化を生かしはぐくみつつ、平和で豊かな県づくりのため、沖縄海洋博覧会の推進をはじめ、沖縄の開発発展を国民的課題として今後とも積極的に取り組む決意であります。これまで沖縄復帰に注がれてきた沖縄県民のたくましい力は、その原動力となるものと確信いたします。沖縄の祖国復帰が実現した今日、1970年代の新しい国際関係のなかで世界の平和と繁栄のため貢献しうるよう最善を尽くすことをここに国民各位とともに誓いたいと思います。