荒木、2年連続で実力示す SUP世界3位 体力差を戦略で埋める


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世界トップクラスの選手が集うカロライナカップで実力を発揮する荒木珠里(左)=4月30日、米ノースカロライナ州(Laura Glants提供)

 荒木珠里=通信制NHK学園高1年、名護市.緑風学園出=が2年連続で世界3位の実力を示した。4月27日~5月1日に米ノースカロライナ州のライツビルビーチ周辺で行われたSUP(スタンドアップパドルボード)の世界大会・カロライナカップ。荒木はエリートレース(約22.5キロ)に出場し1時間58分1秒7で3位、サーフスプリント(約1.6キロ)で4位に入った。同大会は国際カヌー連盟(ICF)の世界選手権の代表選考会も兼ね、9月にヨーロッパで開催される同選手権への出場可能性に弾みを付けた。6月からはワールドツアーが始まり、資金造成で5月末からクラウドファンディングを始める予定だ。

カロライナカップのエリートレースで3位に入った荒木珠里(中央)(Hendy Street提供)

 格上の世界トップレベル選手に食らいつき、自身の存在の大きさを世界に見せつけた。名護市安部の海での練習の成果をいかんなく発揮し、「自分のこぎは間違っていなかった」と自信を深め、さらなる高みを見据えた。

 波のある海と穏やかな運河で競い合うエリートレース。身長168センチと、長身の海外選手には体格面で劣る。しかし「力のある選手にどう勝つか、体全体を使って研究してきた」と、自信があった。海から始まる冒頭は「死にものぐるいで付いていこう」とダッシュをかけ、5人の先頭集団に加わった。

 運河に入ると、前の選手にぴたりと付け、先頭が起こす引き波を利用して前進し体力を温存した。終盤の海は全力で追い上げ、1位と12.5秒差の3位でゴール。15歳(大会時)という若さと勝負強さでトップ選手を驚かせた。一方、競技中は風がなく、得意の海が荒れた状態にならなかったため、ラストスパートで力が出せなかったという。練習パートナーを務める父の汰久治さんは「どんなコンディションでも通用できる選手を目指している」とさらなる成長を期待した。

 大会終了後に誕生日を迎えた16歳は、これから世界各地での戦いが待っている。「日本人でも世界で通用できることを証明したい」と頼もしく語った。
 (金良孝矢)