ウサギはニンジン好き?! 周本記世(がじゅまる動物クリニック院長)<未来へいっぽにほ>


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周本 記世(がじゅまる動物クリニック院長)

 皆さんの母校では、どのような動物を飼っていただろうか。ウサギやニワトリが代表的だが、近年は高病原性鳥インフルエンザ流行により、鳥類の飼育頭数は激減している。今回は最も一般的なウサギについて、動物と触れ合うのを心待ちにしている子どもたちや、学校飼育動物に関わる先生のために、正しい飼育方法をご紹介したい。

 まずお伝えしたいのは、学校で飼育されている動物がかかる病気の多くは、適切な方法で飼うことで予防できるということ。不適切な飼育環境の中で最も多い原因が、食餌である。

 ウサギはニンジンを食べるイメージが強いが、飼育下のウサギにとって最も大切な主食は、チモシーという牧草。一生伸び続ける歯を適度にすり減らし、毛づくろいによって飲み込んだ毛を便と一緒に排出するのに、牧草の自由採食が必要なのだ。そのため幼少期から牧草を食べさせて育てることが長生きの秘訣(ひけつ)となる。

 一方、大量に与えられることが多い粒状のペレットは、実は少量で十分。1日量の目安は体重の1・5%(子ウサギや妊娠授乳中の場合は3%)なので、一度計ってみてほしい。また生野菜は下痢しやすいので、与えるならたまに、少量のみがよい。児童からエサ用の野菜を募っている学校もあるが、栄養バランスや安全面からお勧めできない。

 ネギ類、チョコレートなどは食中毒を起こし、小麦が含まれるクッキーなども胃腸の流れが悪くなるため与えない方がよい。もちろん、常に新鮮な水を自由に飲める環境も必要となる。

 それにしても、乾いた草から、あのつやつやふわふわな毛が作られるなんて、ウサギの体って不思議。その秘密は、次のお楽しみにとっておこう。