生徒と共に「復帰」学ぶ 社会科以外の学級担任らが授業 南風原中


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沖縄の日本復帰前後の様子を写した写真を見て、気付いたことを書き込む南風原中1年の生徒と担任の眞座孝弥教諭=9日、南風原町の同校

 日本復帰で何が変わり、何が変わらなかったのか。南風原中学校で9日、沖縄の日本復帰について学ぶ授業が全学級で一斉に開かれた。昨年までは社会科教諭が教えていたが、復帰を体験していない多くの教師も、生徒と共に学び、共に考えたいとの意図から、復帰から50年目の今年は学級担任が授業を行った。教師たちは事前の校内研修で知識を深めながら授業展開を確認し合い、教えることの不安感も話し合った上で授業に取り組んだ。

 1年4組では、理科教諭の眞座孝弥教諭が授業した。始めに復帰前後の母子手帳の写真を見せ、何が違っているかを生徒に考えさせた。表紙に記された「琉球政府」と「沖縄県」の文字に気付いた生徒たちからは「日本じゃない」「琉球政府って国なの?」などと声が上がった。

 その後は、甲子園の土を持ち帰ることができなかった首里高校の球児たちや、交通方法変更の「730」の写真など、復帰前後の沖縄の様子を写した8種類の写真を各グループに配り、気付いたことを書き込ませた。その後各グループの発見を全員で共有しながら、当時の状況を眞座教諭が説明し、生徒たちは復帰当時の混乱を学んだ。

 生徒の一人、兼屋空心(くうしん)さん(12)は「北谷に出掛けた時、アメリカの雰囲気が感じられた。楽しめる部分もあるけど、授業やニュースを見ていて喜べない部分もある」と話し、沖縄について学ぶことの意義を感じていた。眞座教諭は「普段は理科を担当している分、不安もあったが、一緒に学ぶことがとても重要だと実感できた」と話した。
 (嘉数陽)