10年後、君ならどんな沖縄に?中学生が「復帰」学び、未来を議論


社会
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自分なりの「10年後の建議書」を考える鏡原中3年の生徒と山内治教諭=12日、那覇市の同校

 那覇市立鏡原中学校で12日、日本復帰に関する特設授業が3年1組の生徒を対象に開かれた。復帰当時小学5年生だった山内治教諭(60)が、授業を進めた。山内教諭は「今は復帰50年の節目で盛り上がっているが、来年、再来年も同じ熱気だとは思えない。継続して沖縄の歴史を考えてほしい」と話し、授業の最後には自分なりの「10年後の建議書」を作りながら、沖縄の未来を一緒に考えた。

 山内さんは復帰前日の夜、「眠っている間に沖縄が移動して鹿児島にくっつく」と思い込んでいたという。授業の冒頭で打ち明けると、生徒たちから笑い声が上がった。「復帰したら沖縄で雪が降るとか、今じゃ信じられないうわさがたくさんあったんだよ」と、当時の様子を紹介した。

 一方で、ニュースでは復帰に反対している沖縄の大人たちが連日映し出され「次第に戸惑うようになった」という。ドルから円への交換、多発する米軍・米兵による事件事故、残された米軍基地など、混乱を極めた当時の沖縄を写真や映像で紹介した。

 授業の最後、山内さんは「復帰で何が変わり、何が変わらなかったのか。みんなが問題を受け止めて未来へつながないと、沖縄の問題は解決されない」と語り掛けた。

 濱川倖輔さん(14)は「交通の便が良くなってほしい。モノレールをもっと広く走らせてほしい」、上原心美さん(14)は「基地を減らし、テーマパークを造って経済を良くしてほしい」とアイデアを出した。山内教諭は「沖縄の複雑な問題に対する疑問やモヤモヤした感情を大事にしながら、解決していく力を育ててほしい」と語った。

(嘉数陽)