【記者解説】50年で「風化」?沖縄振興の原点とは…一人一人が考える機会に 第6次振計了承


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臨時記者会見で新沖縄21世紀ビジョン基本計画の決定について発表する玉城デニー知事=13日午後、県庁(又吉康秀撮影)

 県振興推進委員会で新・沖縄21世紀ビジョン基本計画(振計)が了承され、沖縄の日本復帰以降、第6次の振興計画が15日からスタートする。ただ復帰から50年を経て世代交代が進み、振計を推進する国民的コンセンサス(合意)が得にくくなりつつある。新振計を契機として、沖縄自らが先手を取って沖縄振興の在り方を検証する選択肢も視野に入れる必要がある。

 玉城デニー知事は復帰時から続く内閣府による各省予算の「一括計上方式」について、他県と予算要求方法の違いから「他県から見ると特別な予算をもらっているかのような印象を与えているが、決してそうではない」と課題を説明した。

 沖縄戦で壊滅的な被害を受け、米施政下に置かれた苦難の歴史に対する「贖罪の意識」から出発した沖縄振興の原点はこの50年で“風化”し、「沖縄は優遇されすぎている」などの見方が言われる。

 玉城知事は、沖縄が抱える基地の過重負担や島嶼(とうしょ)性ゆえの高コスト体質などの固有課題、子どもの貧困問題などが解消し、「県民が本当に豊かになったと実感できる経済、社会になれば、振計や法律の在り方の議論が初めてできる」との認識を示した。

 制度の見直しを提起するのは政治的にハードルが高く、予期しない方向にいく可能性もある。ただそれでも復帰50周年の節目に、県任せではなく、県民一人一人が新たな沖縄振興の在り方を考える機会にしたい。

(梅田正覚)