復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉5月20日「通貨交換、きょうまで」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年5月20日の琉球新報1面は、「悪質業者には輸入停止も/物価対策会議/国に強硬措置要求/きょう業者と協議/〝抑制〟で行政指導」との見出しで、通貨交換に伴う異常な物価高騰を受けた沖縄県の対策について紹介している。政府の対応についての関連記事では「物価統制令も検討/政府/不当利得には制裁措置」との見出しで、沖縄開発庁の制裁措置の方針を伝えている。また別の記事では「要因は305円換算に/瀬長氏、〝物価〟で政府追及」との見出しで、衆院沖縄特別委員会で瀬長亀次郎氏が質問している様子を紹介している。

 2番手の記事は「通貨交換、きょうまで/あすからは…手数料取り実勢レートで」との見出しで、復帰に伴う通貨交換レート(1ドル=305円)での通貨交換が20日で終了することを伝えている。15日から始まった通貨交換は17日までで通貨量の75%ていどが交換されたと伝えている。記事中には、交換に伴って偽20ドル札が6枚発見されたという。

 このほか「大国間の勢力均衡目ざす、米大統領きょう訪ソ」との見出しで、ニクソン米大統領が米大統領としての初ソ連訪問に出発する予告記事を掲載しているほか、「中国卓球団きょう訪沖/琉大体育館などで親善試合」との見出しで、日中交歓卓球大会沖縄大会に参加するため中国から卓球団が沖縄を訪問する予告も掲載している。 

 

 ◇  ◇  ◇

 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。