紅型 言葉超えたツール 照屋勇賢さん 首里高で講話「技術は強み 自信持って」


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首里高校の生徒らに紅型デザインの下絵を紹介する照屋勇賢さん(右)=20日、那覇市真和志の首里高校

 首里高校は20日、染色デザイン科の生徒を対象に、県出身で現代美術家の照屋勇賢さんを招いて講話を開いた。紅型の型紙を作るための下絵を実際に紹介しながら、これまでの活動を紹介した。

 主に海外でアーティスト活動をしている照屋さんだが、沖縄帰省時に足を運んだ旧県立博物館で紅型を見て、世界レベルの表現や美しさに衝撃を受けたという。それから紅型作家の金城宏次さんと協力し、数々の紅型作品を残している。

 沖縄の自然にオスプレイの柄を織り交ぜるなど現代を表した作品が特徴で、照屋さんは「紅型は言葉を超えたコミュニケーションツールになる」と話した。

 海外でも展示の機会を増やすため、着物だけでなく紅型を絵画作品として制作している。オバマ大統領を紅型柄で描いた肖像画は、「(当時の)オバマ大統領の考え方が沖縄にも影響を及ぼす」とのメッセージを込めた。

 照屋さんは「皆さんは(工芸の)技術を持っている強みがある。自信を持って取り組んでほしい。ささいなことでも自分にしかできないことを育てていってほしい」と激励した。

 講話を聞いた同校3年の大城愛莉さん(17)は「紅型の柄はハイビスカスなどのイメージが強かったが、人物や食べ物を取り入れる発想が勉強になった」と話した。ファッションデザイナーを目指す3年の前田海斗さん(17)は「現代社会の風刺とアーティスト活動を絡めていてすごいと思った」と話した。

 照屋さんの展覧会「CHORUS(コーラス)」(那覇市主催)が、6月26日まで那覇市久茂地の那覇文化芸術劇場なはーとで開催されている。

 (中村優希)