復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉5月24日「国連軍配備、基地の自由使用拡大」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年5月24日の琉球新報1面は、「関係改善に強い熱意/第1回米ソ首脳会談/医学、環境保全で合意/29日まで討議続行」との見出しで、米大統領として初めてソ連を訪問したニクソン大統領がプレジネフソ連共産党書記長ら首脳と会談した歴史的場面を紹介している。記事では、会談についての発表内容について「双方は会談での建設的な成果が両国民の利益、国際緊張の緩和と全般的な安全保障の強化という目的に役立つであろうとの確信を表明した」と伝えている。

 一方で米ソ首脳会談に次ぐ大きさの記事では「基地の自由使用拡大/国連軍配備/原水協反発/事前協議の死文化」との見出しで、米軍基地にひるがえる国連軍旗の写真とともに掲載している。原水協が調査を踏まえて「米軍基地がこれまで以上に機能を拡大、事前協議に制約されることなく、米軍が国連軍という名のもとにいついかなる事態にも自由に沖縄から出動できる体制が確立された」と分析していることを紹介している。 

 復帰後、初めて実施される沖縄県知事選の告示まで1週間となり「自民・革新、対決ムード上昇」との見出しで、各党の選挙戦のムードが高まり臨戦態勢に入っている様子を伝えている。情勢について記事では「これまでのところでは、革新側がやや優勢であるが、自民党は、革新に比べて運動量はかなりまさっており、激しい追い上げをみせている。ことに勝敗のカギをにぎるとみられる那覇、中部地区では、激しく双方がわたり合っており、これから告示までの1週間が勝負だと各選対はみている」と、自民と革新の取り組みを伝えている。

 国会論戦を紹介する記事では「給油、対象にならぬ/福田外相、野党の追及に高姿勢」との見出しで、ベトナム戦争と日本の米軍基地との関わりを追及する野党と政府の姿勢を伝えている。福田赳夫外相ら政府側は「現在わが国の基地を使用している米軍の活動は直接戦闘作戦行動ではなく事前協議の対象とする考えはない」と繰り返す中で、嘉手納基地に再飛来したB52戦略爆撃機についても「B52爆撃機その他の飛行機でも、核装備していない限り安保条約上の別約はないし事前協議の対象とはならない」と協調している。

 そのほか「戦闘目的でわが国の基地に来て発信するのは事前協議の対象とし、ノーである」「B52機は県民、国民感情から好ましくないので、今回のようなことが反復されたり、移駐のないよう米側に厳重に申し入れた」「戦闘行動のために発進するのでなければ陸上給油も事前協議の対象とはならない」とも付け加えた。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。