エバンス、値千金のブザービーター キングス初のCS決勝進出


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
キングス―島根 第2クオーター、ディフェンスをかわしてシュートを放つキングスのドウェイン・エバンス

 プロバスケットボールBリーグの年間王者を決めるチャンピオンシップ(CS)で、琉球ゴールデンキングス(西1位)が初めての決勝進出を決めた。沖縄アリーナで22日に行われた島根スサノオマジック(西2位)との準決勝第2戦は、両者が一歩も引かない激戦となったが、試合終了間際に決勝点を挙げたキングスが72―70で勝利した。キングスは序盤から速いボール回しでテンポを上げて攻撃のリズムをつくったが、島根も簡単には流れを渡さず要所でリバウンドを奪い一進一退の攻防を繰り広げた。第3クオーター(Q)に島根がわずかにリードを広げ、53―58で迎えた最終の第4Q。キングスは今村佳太の得点などで逆転に成功するも、島根も粘って同点に追いついた。残り11秒で70―70。岸本隆一の3点弾が外れ、反応したドウェイン・エバンスが攻撃リバウンドを奪い、ブザービーターとなるシュートをねじ込んだ。決勝は東京体育館で28、29、31日に行われる。キングスは、川崎ブレイブサンダース(東2位)を破った宇都宮ブレックス(東4位、ワイルドカード)と対戦する。

 第4クオーターの残り11秒で70―70の同点。キングスがボールを託した岸本隆一の3点シュートはリングに弾かれた。残り2秒。リバウンドを拾ったドウェイン・エバンスがジャンプショットを放つと、試合終了のブザーと同時にリングにのみ込まれた。初の決勝進出を決定づけた立役者は、仲間にもみくちゃにされながら、全てのキングスファンとともに今季一番の歓喜に酔いしれた。

 普段は内外からの得点でチームを勢いづけるエバンスだが、前半は島根の堅守を前に攻めあぐねた。ペイントエリアでは相手守備2人に付かれ、外からのショットも入らない。フリースローが2本連続でリングに嫌われるなど、なかなか調子が上がらなかった。

 しかし「頑張ればいいことがあると思った」。得点が入らなくてもアシストやリバウンドでチームをけん引。最後のボールは「なんとしてもシュートしなければ」と諦めず、値千金のブザービーターにつなげた。

 試合終了後、マイクを握ったエバンスは「素晴らしい雰囲気でみんなの支えがあって、苦しい展開でも勝利をものにできた」と感謝した。決勝に向けて「優勝しないと意味がないので、頑張りたい」と決意を新たにした。
 (金良孝矢)

今村、攻守で大きな貢献 無尽蔵のスタミナ、駆け回る

 

キングス―島根 第3クオーター、シュートを決めるキングスの今村佳太

 今村佳太がいなければキングスの勝利は遠かった。34分間の出場で25得点、6リバウンド、1アシスト。第4クオーター開始直後に3点弾を決めて、ファンを巻き込み勢いを呼び込んだ。

 重視している守備では、無尽蔵のスタミナを見せつけるように最後までコートを走り回った。

 日本代表を経験し、外角だけでなくゴール下へのアタックへの意識も強くし、今季は成長を続けてきた。この日も中外と動き続けて、多彩な攻めで島根を揺さぶった。

 「言葉にできないくらい皆さん(ファン)の力が試合を動かした」。試合後にそう勝因を挙げ「東京体育館を(キングスのチームカラーの)ホワイトやゴールドで埋めましょう」と呼び掛けた。
 (謝花史哲)


▽準決勝第2戦(沖縄アリーナ、8309人)
キングス(西地区1位)2勝
 72―70(17―18,19―20,17―20,19―12)
島  根 (西地区2位)2敗
 (キングスは決勝進出)

 【評】両チームの守備が機能する接戦でキングスが競り勝った。島根は前半からペイントエリアで堅いディフェンスを敷いたが、キングスは3ポイントで加点に成功した。キングスは島根の主力の金丸や安藤を抑えたが、ビュフォードを中心に攻め込まれた。キングスは豊富な運動量で守備の強度を維持し、要所で得点を決めた。島根は外国籍選手の体力が削られ、勝負どころのフリースローを落とした。
 (金良孝矢)

◆目標はもう一個ある

 桶谷大HC(キングス)の話 チームとして流れが行ったり来たりする展開で、踏ん張って自分たちのやるべきことをやりきってくれた。冷静に一つ一つつないで最後しっかり勝負できた。満員でゲームができたことは本当に感動した。まだ終わりではない。目標はもう一個ある。一つ一つ踏みしめながら前に進みたい。

◆しっかり戦ってくれた

 ポール・ヘナレHC(島根)の話 何も言うことはない。頭の回らない状態でまだ(試合を)振り返れない。強いチームを相手に選手がしっかり戦ってくれたので感謝したい。(今季は)新体制でいろんなことに直面し、学びの1年だった。