自民党機関紙、地位協定改定要求は「日米同盟の不安定化を狙っている」 沖縄県連は「改定必要」見解に相違


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日米地位協定改定を求める意見書について「共産党系等の会派から提出される」「日米同盟の不安定化を狙って」などと記す自民党の機関紙「自由民主」のインターネット版

 自民党がこのほど、機関紙「自由民主」のインターネット版に日米地位協定に関する見解を載せ、地位協定について「日米安全保障体制にとって極めて重要なもの」とした上で、米軍関連の事件や不祥事の度に「共産党系等の会派」から改定を求める意見書が提案されると記載した。さらに共産党が「日米同盟の不安定化を狙ってこうした(地位協定改定を求める)主張を繰り返していると考えられる」と論じ、左派批判を前面にする形で、地位協定の見直し要求は日米同盟への敵対行為だと示唆する主張を展開している。

 見解は「地位協定のあるべき姿を目指す」のタイトルで、24日にネット上に掲載した。

 これに対し、沖縄県議会では、今月13日に全会一致で可決した沖縄の日本復帰50年に合わせた意見書・決議をはじめ、自民党会派も含めた総意として地位協定の抜本改定を政府にたびたび要求してきている。全国知事会も2018年に日米地位協定の抜本改定を含む「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択しており、改定要求は党派や地域を超えて広がっている。

 自民党県連も地位協定改定を掲げており、党本部との相違が生じている。同県連は取材に「米軍と県民が良き隣人関係となるためにも地位協定の改定は必要だ。党本部の方針と違いがある中で、日本と沖縄県の確固たる安全保障の確立のためにも地位協定のあるべき姿を求めるべきだ」と回答した。

 自民党の機関紙編集部は琉球新報の取材に、「党本部に各地の議員から問い合わせが来る中で、地位協定については共産党系の会派などから提案されていることが多い」と説明。沖縄県連が改定を求めていることも踏まえて「『あるべき姿を目指す』と題した」と説明した。

 共産党が日米同盟の不安定化を狙っているとの記載については、同党が日米安保条約の「廃棄」を掲げていることを基に「編集部の考えを記した」と述べた。

 共産党の赤嶺政賢衆院議員は「安保廃棄を掲げているが、地位協定の改定はそのためではない。県民の命と暮らし、人権を守るためだ」と反論。「改定の主張は共産党だというレッテルを貼って『賛同するな』という国民分断の脅しだ」と指摘した。
(明真南斗、大嶺雅俊)