「洋服の一生」繊維から最終処分まで学ぶ 松島中で「服育」授業


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パイナップルの葉の繊維の感触を確かめる生徒ら=20日、松島中学校

 「洋服は何から、どうやってできている?」―。普段身に着ける洋服をテーマにSDGs(持続可能な開発目標)や地球環境を考えようと、那覇市立松島中学校(喜屋武浩司校長)で20日、「服育授業」が開かれた。中学1年生約200人が参加し、洋服の素材や生産・処分される過程を学んだ。天然繊維プランターを使った苗植えもあり、土から生まれたものを土に返す循環モデルについて理解を深めた。

 同校は本年度、県教育委員会の「SDGs達成に向けた教育実践」研究校に指定されている。同校の保護者で、県内の資源を活用した商品の企画・開発などを手掛けるフードリボンの長谷場咲可さんが、PTAを通し学校側に授業を提案。松島中学校と天然繊維循環国際協会、フードリボンが共同で実施した。

土を入れた麻袋プランターに花の苗を植える生徒ら

 授業前半の講話では、洋服が作られる繊維の種類や、最終処分に至るまでの流れや課題が解説された。生徒たちは、洋服の元となる天然繊維と化学繊維、混紡繊維などを実際に手で触り、それぞれが持つ特徴などをクイズ形式で学んだ。

 大量生産・消費の流れで洋服の値段は下がっている。日本人1人が1年間で約18着の洋服を購入する一方、約12着を手放す現状が説明されると、生徒たちは驚いた様子で聞き入った。講師を務めた秋山美紀さんは「どうしたら自分たちが生きていく地球を守れるか考え、選択しながら生活していけるといいと思う」と語り掛けた。

 その後、麻袋で作られた天然繊維プランターに花や野菜の苗を植えた。元々コーヒー豆を入れていた麻袋をプランターとして活用。麻袋の内側には、不要になった天然繊維の衣服を内袋として再利用している。役目を終えた天然繊維プランターは、最終的には炭化し土壌改良剤として土に返すことができる。

 1年生の生徒(12)は「繊維などのことをもっと勉強したいと思う。貴重な時間になった」と充実した表情で語った。授業をコーディネートした長谷場さんは「消費者が変わることでファッション業界も変わる。洋服が何からできて、どう処分されるのかを知り、自分の選択について深く考えるきっかけになればうれしい」と話した。
 (吉田早希)