prime

ゆっくり進む気候変動…統計データで知って 石垣綾音・まちづくりファシリテーター<明日からできる わたしの一歩>


この記事を書いた人 Avatar photo 外部執筆者

 激しい雨が多い、台風の直撃が少ない…など、その年その時の気象の変化は感じることができるが、ゆっくり進む気候変動を知るには、統計が必要だ。沖縄気象台は、各年と長期的な傾向をまとめた「気候変動監視レポート」を作成している。

 これらのレポートによると、沖縄地方の気温は、那覇で100年あたり約1.2度、石垣島で約1.3度、宮古島では約1.5度の割合で上昇している。2021年は年間日照時間が平年より「かなり多く」なった。短時間に降る強い雨は、日本全国ほど増えていない一方で、雨が降らない日は増えているという。

 目に見えにくい気候変動だからこそ、対策には世代間の協力と社会システムの変革が必要不可欠だ。現在の大人の行動に働きかける一つの動きとして、「気候若者会議」が日本でも開催されている。22年4月に発表された最終提言の議論には、沖縄からもゼロ・エミッションラボ沖縄(ZELO)の2人が参加した。

 提言は「多様性が認められる社会」「個人の主権者意識・主体性・積極性の向上」をビジョンに掲げ、具体的な内容はエネルギー需要、生活、産業、国際人権、未来社会など多岐にわたる。

石垣綾音

 気候変動といえば「脱炭素」といった直接的な対策が目立つが、「気候正義」の観点の下、私たちの暮らしの裏で誰かの生活が犠牲にならないよう、人権の重視も含め、現在の社会システムの問題点にも提言は切り込んでいる。

 さらにエネルギーに関する熟議の日の制定や、子ども議会の開催もある。気候危機をきっかけに、子ども、若者をはじめ広く市民が世界の環境のために共に考え、行動する、民主主義の実行であるという考えが反映されている。

 県内では気候若者会議だけでなく、ゼロエミッションラボ沖縄(ZELO)、Fridays for Futureなど、気候変動に対するアクションを市民が考えて行動するための場があり、定期的にイベントも行っている。気候監視レポートを読んで現状を理解したら、若者の提言を参考に、勉強会などにも参加しながら、会社や個人で貢献できることについて考えてほしい。