復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉5月29日「屋良、大田両氏の一騎打ちか/知事選告示まであと2日」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年5月29日の琉球新報1面は、「屋良、大田両氏の一騎打ちか/県知事選告示まであと2日/県政へ意欲燃やす/両陣営、自治実現でアピール」との見出しで、「戦前戦後を通じ初めて行われる県知事選」が31日告示、6月25日までの選挙戦が始まることを伝えている。知事選では、革新陣営から主席から知事を務める屋良朝苗氏と、保守から自民党県連の大田政作会長との一騎打ちになる構図を紹介している。

 関連記事として、自民党が知事選と県議選に向けた総決起大会を開いたことを伝える記事で「十大政策を発表/知事、県議選で態勢固め」との見出しで政策を紹介している。2面で大会宣言と十大政策を掲載している。概要として「十大政策では『自主県政』を前面に打ち出し、さらに『県政当面の問題』として、通貨交換に端を発した物価高騰問題の解決に積極的に取り組む姿勢を示しているのが特徴」と紹介している。

 沖縄では暮らしに直結した大きな問題になっている物価高騰について、中央との温度差を「論議ない物価問題/『健保』などのんびりムード/延長国会」と低調な国会論議の展望を批判的に伝えている。

 このほか、戦略兵器制限条約の調印を伝えてきたところだが、この日は「世界政策で基本原則/共同声明仕上げ急ぐ」との見出しで、この後だされる共同コミュニケ(声明)の発表を展望した記事を掲載している。

 また記事とは別に1面には物価高騰に関係した広告も掲載されている。「ヤクルトの新価格22円」とのタイトルで、沖縄ヤクルト株式会社が掲載する広告の中では「沖縄ヤクルトの今日の発展を支えてくださったご愛飲家の皆様に感謝し360円で換算すると25円となるところを弊社は新価格を305円で読み替え5月1日から22円でご奉仕させて頂いています」と説明している。

 

 

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。