国、区域指定のめど示さず 土地利用規制法6月1日一部施行 市民ら「罰則受ける可能性」を指摘


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 【東京】自衛隊や米軍基地の周辺、国境離島などを対象とした「土地利用規制法」が6月1日から一部施行されるのを前に、市民団体や国会議員らは27日、国の担当者らと面談し、検討状況を聞き取った。内閣官房担当者は、国民から意見を公募するパブリックコメントを実施するかどうかや、区域指定のめどについて「検討中」「現時点で示せるものがない」などと繰り返した。

 国は一部施行に基づいて法の運用に向けた基本方針を策定し、有識者を集めて意見を述べてもらうため内閣府に「土地等利用状況審議会」を設置する。今後、法の執行を担う重要土地担当の政策統括官を置いて準備を進める。全面施行は9月を予定している。

 内閣官房担当者は面談で、勧告・命令や罰則の対象となる「機能阻害行為」の具体的な行為を明記することについて、「対象施設の機能がさまざまであることや、技術の進歩で阻害行為が変遷する。全てを書き切ることはできない」として例示にとどめると説明した。市民らは「どんな行為が対象になるか分からないまま決められ、罰則を受ける可能性がある」と指摘した。

 基本方針の内容や意見公募の有無も決まっていない国の準備状況に、市民側は「6月1日の一部施行をやめた方がいい」など批判した。

(明真南斗)