prime

有給休暇の取得義務化 企業と従業員一体で推進を <けいざい風水>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
イメージ写真

 2021年11月に厚生労働省が公表した「就労条件総合調査」で、2020年の民間企業の年次有給休暇の平均取得率が1984年の調査開始以来最高の56・6%となりました。背景として、19年4月の労働基準法一部改正での「年5日の有給休暇取得の義務化」が挙げられます。「全ての企業は、条件に合致する従業員に対し年5日の有給休暇を取得させる義務があり、違反した場合は違反者1名に対して30万円以下の罰金が科せられる」というものです。有給休暇の取得義務化は政府が推進する働き方改革の一環です。日本の人口減少に伴う労働力不足を解消し、ワークライフバランスを意識した働き方ができる社会を作るため、阻害要因となっている労働環境を改善することが目的です。

 日本の有給休暇取得率は諸外国と比較して低く、制度があっても職場への遠慮や、取得することへの抵抗感から有給休暇の取得が進みませんでした。

 有給休暇取得義務化は従業員の心身の健康に寄与するだけではなく、企業側にも従業員のモチベーションアップによる生産性向上のほか、離職防止、優秀な人材の確保、企業イメージの向上等のメリットがあります。

 しかしながら、企業が従業員に有給休暇を取得させるためには、さまざまな対応が必要です。就業規則や有給休暇の取得状況等管理方法の見直し、業務の効率化を図る、仕事の分担を見直すなど、休暇を取りやすい職場環境づくりが挙げられます。そのためにも企業・従業員の双方が有給休暇への意識を変え、共に取り組むことが重要です。

(沖縄銀行末吉支店支店長 新垣おさ乃)