復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉5月30日「軍事対決回避で合意/米ソ首脳基本文書」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年5月30日の琉球新報1面は、「軍事対決回避で合意/米ソ首脳基本文書に調印/三首脳を米に招く/ベトナムでは対立/欧州安保会議でも合意」との見出しで、アメリカのニクソン大統領とソ連のプレジネフ書記長が最終会談を行い、調印した基本文書の内容について報じている。記事では、基本文書の要旨とともに「ニクソン米大統領は今回の訪ソを終わるにあたり、プレジネフ書記長、ポドゴルヌイ最高会議幹部会議長、コスイギン首相のソ連三首脳の訪米を招請した。訪問の時期は『粗放にとって都合のよいとき』とされている」と記している。

 ベトナム戦争に関連しては共同コミュニケ(声明)では「双方の立場を併記して意見の不一致を明らかにしている。米国側は北ベトナム海上封鎖と同時に発表された①米捕虜の送還②国際監視下の停戦③四カ月後の米軍の撤退という案を繰り返し、ソ連側は北ベトナム、解放戦線の平和提案を支持した」とも紹介している。

 これとは別に「県知事選挙あす告示/『基地・物価』が争点に」との見出しで、初めての県知事選が31日告示されることを伝えている。記事中では「本土の各政党も自体を重視し、31日の告示日には、自民党の保利茂幹事長、社会党の赤松勇副幹事長が来沖して支援に当たるのをはじめ、本土からの支援をも相次ぐ予定で、沖縄の命運だけでなく、本土の政局にも重大な影響を与える選挙となろう」と記している。

 さらには「物価、来月中に鎮静/対策協が初会合開く」と、復帰後の沖縄の物価高騰に対する沖縄県と政府と市町村による対策の動きについて伝えている。記事中では「この日の会議は、さきに発表された沖縄県の物価高にたいする政府の物価安定対策をどう具体化するかで政府と県側の協力態勢を確認しただけにとどまったが、この異常な物価高を一カ月以内で解決することにメドをおき、それぞれの立場から全力をあげることを申し合わせた」と紹介している。

 このほか「今週中にも総合対策/沖縄売春対策連絡会開く」との見出しで、売春防止の啓発活動や「更正」のための貸し付け金の創設などが議論されていることを伝えている。 

 

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。