コロナ、困窮世帯の家計を直撃 「生活苦しい」半数超 21年度沖縄子ども調査、初の悪化


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 沖縄県が31日に発表した、2021年度沖縄子ども調査(小中学生)では、新型コロナウイルスによる家計への打撃が大きく現れた。困窮世帯とされる低所得層Ⅰでは、現在の暮らしぶりについて小学5年と中学2年の保護者の半数以上が「苦しい」「大変苦しい」と答えた。急な出費に備える5万円以上の貯金がない割合も小学5年と中学2年でいずれも46%に上り、コロナ禍で低所得層はさらに厳しい状況に置かれていることが浮き彫りになった。

 調査に回答した世帯は、「その他」や「無回答」を除きふたり親は小学5年が80・4%、中学2年は78・3%で、ひとり親は小学5年が17・3%、中学2年が18・9%だった。

 困窮度を分類する「等価可処分所得」を18年度と比較すると、ふたり親では顕著な差はないが、ひとり親では小学5年で12・6ポイント、中学生では9・7ポイントも悪化していた。

 経済的な理由で世帯にないものを聞いた設問では、低所得層Ⅰでは小学5年と中学2年ともに、「5万以上の貯金」がいずれも46%と最多で、続いて「新聞の定期購読」が33~36%、「インターネットにつながるパソコン」が26~30%、「子どもの年齢にあった本」がいずれも20%ほどだった。

 習い事や塾も「経済的にできない」が27~40%に上った。

 経済的に買えないなどの回答と親の抑うつ傾向の関連性では、貯金がないや子どもを塾に通わせられない保護者は、充足している保護者と比較して3~4倍のストレスを抱いていると分析。抑うつ状況の悪化につながっていたことから、調査の考察では「子どものための支出や必要な生活環境を整えられない状況が、保護者の心理状況を左右する可能性が示唆された」としている。

(嘉陽拓也)