【識者談話】土地利用規制法の一部施行「政府の情報開示が不十分」 仲松正人弁護士


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 土地利用規制法は元々、一部は成立から1年以内に施行させることになっており、その後の9月に全面施行と付則で定められている。法で定めた順番通りではあるが、この間、市民団体は法施行準備室に対して、何回か質問をしてきた。だが、政府は情報を明らかにしていない。

 機能阻害行為に関して、昨年末に明るみとなった法案の説明資料でいくつかの類型が掲げられていた。しかし、政府に内容をただしても「法案段階のことで、現在は検討中だ」としている。指定区域も全部ではないにしても候補地などは決まっているはずだ。だが、法の一部施行を前にしたこの段階になっても答えていない。

 法の全面施行を前に、内閣は基本方針を策定しなければならず、検討をこれから始めることはないはずだ。特別区域を指定する場合には、関係行政機関との協議に加え、審議会が組織され、意見も述べなければならない。その審議会委員からも、就任の承諾も得ているはずだが、それも公表していない。

 市民団体とともに法の廃止を求めてきたが、こうした国民の権利を侵害するような規制の中身について一言も明らかにしない準備室、内閣の姿勢は非常に問題だ。指定区域を具体的に示さなければ、対象者も「自分の問題」と位置付けることができない。認識することもできないまま、監視の対象とされる危険もある。