空き家活用し地域活性化 古民家で高校生が紙すき体験 大宜味村饒波区


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古民家で紙すき体験をする参加者ら=5月14日、大宜味村饒波区

 【大宜味】空き家対策は地域活性化の大きな課題となっている。特にやんばる地域では、さまざまな理由で地域を離れ都市部へ移り住んだ人が、高齢化して戻っても住むことが困難なため数十年余も放置されている家屋も少なくない。大宜味村饒波区でその空き家を活用して5月14日、紙すきの体験会が行われた。

 饒波区は国道から山手へ2キロメートルほど入った、世帯数30軒ほどの小さな集落。山城初子区長が空き家を利用して活性化を図りたいと模索していたところ、紙すき体験場を探していた江洲区の照喜名惠子さんと意見が一致。山城区長が南部在住の空き家の持ち主の承諾を得て、周辺の木の伐採や家屋の大掃除を行った。

 原料に糸芭蕉の繊維を使い、染織をシークヮーサーの小枝で行うなど村の特産品にもこだわった。体験会には地元の辺士名高校生3人が参加した。

 環境科2年生の野崎楓夏さん(17)は「大宜味の植物の豊富さに驚いた。何もないのではなく、視点を変えることで再発見できるのだと感じた」と話した。

 田中啓達さん(16)は「自然物を利用して人間も自然も一緒に暮らしていけたら素晴らしいと思う」と述べた。松永花音さん(16)は「古民家は初めて入った。紙すきも初めてだったがきれいにすくことができた。これからもいろいろチャレンジしてみたい」と話し、それぞれ完成した芭蕉紙を手にした。

 山城区長は「地域が喜ぶならと快く承諾していただいた方に感謝したい。区長会でも空き家対策は以前から取り上げられてきた課題。空き地や空き家を利用することによって地域が活性化しみんなが喜ぶ。今後も継続して取り組んでいきたい」と期待を寄せた。

 (安里郁江通信員)

紙すき体験後に笑顔を見せる参加者