復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉6月3日「6500万ドル負担/基地の整理統合で福田外相」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年6月3日の琉球新報1面は、「物価値上げルート究明/国と県、きょう一斉に特別調査/不当つり上げ業者、許認可取り消す/7日から県下の生鮮食料品も」との見出しで、国と沖縄県、市町村でつくる物価問題連絡協議会の幹事会で確認された対策を紹介している。記事では「復帰後の異常な物価高騰がまだ完全に鎮静していないため、さらに具体的調査に基づく行政指導を強化するために開かれた」と開催趣旨を説明している。

 関連記事は「第2次豚肉の移出分見合わせ」との見出しで、豚肉の物価沈静化のため政府が豚肉7トンを緊急移出したのに続いて予定している移出については、地元の生産団体からの反対と価格の値下がりの兆しがでていることから見合わせる方針であることを伝えている。

 復帰に伴う在沖米軍基地の撤去比負担に関する記事で「6500万ドル負担/福田外相/基地の整理統合で語る」との見出しを掲げて報じた。記事では「福田外相は2日の衆院外務委員会で『VOAの移転について米側が財政援助を求めても堅く断る』と撤去比負担の考えがないことを明らかにした。これは西中清氏(公)が前回の同委員会で吉野外務省アメリカ局長が『米側はわが国に援助を求めてくるかもしれない』と述べたことの真意をただしたのに答えたもの。吉野局長は『援助とは工事のための業者のあっせんなど技術的なこおとで、財政援助とは関係ない』と釈明した」と記している。

 在沖米軍から飛び立った米軍偵察機の運用についての記事は「SR71偵察機/中国領海の侵犯確認されれば/米側に退去求める」との見出しで、福田赳夫外相の衆院沖縄特別委員会の答弁で「SR71が本当に中国の領空を侵犯しているということが確認されれば、安保条約上許されないことなので、アメリカ側に退去を求める」と述べたと伝えている。

 6月25日投開票の沖縄県知事選については「やっと本格的論戦へ/大田、屋良両候補、精力的にかけ回る/県議選の告示は10日後に」との見出しで、政策論争が高まってきた知事選の様子を紹介いしている。

 

 ◇  ◇  ◇

 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。