2021年度の調査結果には、新型コロナウイルス感染症の影響が色濃く表れていた。県と調査協力研究者が繰り返し強調したのは、依然として厳しい低所得者層の窮状だった。
改善要因がなかったわけではない。琉球大の二宮元教授は、母親の正規雇用率の上昇や、非正規雇用でも最低賃金の引き上げがあったことなど複数の改善要因があったとしながら、「それらを相殺するほどコロナの影響があった」と説明した。特に自営業への影響は顕著で、結果として「貧困率が上昇しているとみられる」と分析した。
沖縄大の山野良一教授は、保護者の抑うつ傾向が困窮世帯で高数値となっていることについて、「コロナが経済的な問題だけでなく、心理状態にも影響している」と懸念を示した。
沖縄大の島村聡教授は、子どもの居場所の利用率が特に中学生で伸びたことについて、「子どもたちの間で自然に情報が広がったことは非常に大きな意味がある」と評価した。その上で、子どもの居場所を知らない割合が高いことから周知の強化も必要と強調した。 (嘉数陽)