遊びを通じてつながる 宮城利佳子(琉球大学教育学部講師)<未来へいっぽにほ>


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宮城 利佳子(琉球大学教育学部講師)

 以前、年度初めにとある園を訪問した時、年長の子どもたち数人が外のウッドデッキでアイスクリーム作りをしていた。ブルーシートの上にホワイトボードを並べ、その上にできあがったアイスを並べていた。立って作業する台、座って作業するテーブル、雑巾、ハガキサイズに切って色別に分けた色画用紙、油性マジック、絵の具、のり、はさみ、トイレットペーパーの芯、プラスチックのカップなど、さまざまな道具が用意されていた。それらを使って、棒つきのアイス、カップに入ったアイスを作っていた。

 室内を見ると、右奥では段ボールで仕切った内側で、5人の子どもたちがお金作りに夢中だった。硬貨だけでなく、0がたくさんついたお札も製作していた。お札には押印もなされていた。部屋の中央では、2人の女の子が藤色の画用紙を折ってお財布を作っていた。左奥では2人の子が、牛乳パックを柱にした手作りのカウンターで、お店屋さんごっこをしていた。そのお店には「あいすやさん」の看板があった。それぞれが本物らしくと工夫し、友だちと影響を及ぼしあっている。

 保育者は、バラバラな場所で違うことをする子どもたちの、それぞれの遊びが発展するように援助していた。その上で、違う場所にいる子ども同士がつながるような声掛けもしていた。単に子どもにやり方を示すのではなく、子ども自身の工夫する力や、他の子どもから学ぶ力を育むのだ。

 その後、アイスを買った子どもは売り子となり、塗り絵をしている子どもに声を掛けていた。保育者がつなげることで、子どもは一人一人異なる参加の仕方で、クラス全体の遊びを発展させていた。