6年間で4万通…LINEに寄せられた子どもの悩み 「孤立解消の仕組みづくりを」支援団体がオンラインで勉強会


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(左から)講師を務めた筑紫女学園大学の大西良准教授=5月21日、オンライン(一般社団法人子ども電話童神提供)、一般社団法人子ども電話童神理事の玉城ちはるさん

 おおむね18歳までの若年者や保護者らを対象に、電話や無料通話アプリのLINE(ライン)チャットで悩みごと相談などを受けている一般社団法人子ども電話童神(わらびがみ)(福岡県、田里友邦理事長)は5月21日、オンラインで勉強会を開いた。筑紫女学園大学の大西良准教授と同法人理事でシンガーソングライターの玉城ちはるさんの二人が講師を務めた。「子どもの声を聴こう~子ども食堂、子ども支援、ヤングケアラー問題を考える~」と題して、参加者は子どもたちの現状を知り、居場所の重要性などを学んだ。

 講師の大西さんは、スクールカウンセラーとしても児童・生徒や保護者からの相談を受けており、多く寄せられる相談内容として「睡眠不調」「ゲーム(メディア)依存」「自傷行為」の三つを上げた。

 中学生約930人を対象としたメディア依存度調査では約5%が依存状態にあり、メディア依存度が高いと自尊感情が低い傾向にあることの実態を示した。その上で「依存をどのように捉えるかが重要で依存先をなくすことではなく依存先を増やすことがより重要である」と述べた。

 自殺のリスクを抑えるために「生きることの阻害要因を減らすことよりも促進要因を増やしていくことが大事だ。地域での居場所が必要で『助けて』と言ってよい社会づくりや孤立を解決する仕組みづくりが重要だ」と強調した。

 講師の玉城さんは2004年から約10年間、さまざまな事情を抱える子どもたちやアジアの留学生たち36人と同居生活をした。その経験を生かして多文化共生をテーマに全国の小・中学校などで出前授業「命の授業」を行っている。LINEで悩み相談も受けており、約6年間で約4万通の声に耳を傾けてきた。LINE相談について玉城さんは、「子どもたちがどこに相談したらいいかわからない時に気軽に相談できる。相談先がいろいろあることで子どもたちを救うことにもなる。雑談が多いが、話を聞き続けることが大事で、いざという時に誰かがいるという安心感につながる」と語った。また、ヤングケアラーの相談が増えているとも述べた。

 子ども電話童神の田里理事長は「誰かと話したい時や助けてほしいと思った時に、ひとりで抱え込まないで電話してほしい」と呼び掛けた。同法人の電話相談は(電話)0800(080)4343(通話料無料、午後9時~翌朝午前7時)。ラインチャットは午前5時~午前7時に利用でき「子ども電話童神」で検索できる。
 (中川廣江通信員)