観光振興、量から質へ 「入域観光客数」→「人泊数」


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第6次県観光振興基本計画案の承認について審議した県観光推進本部=6日、県庁

 県観光推進本部(会長・玉城デニー知事)は6日、2031年度まで今後10年間の沖縄観光の基本方針となる第6次県観光振興基本計画案を審議し、内容についておおむね承認した。これまで指標としていた「入域観光客数」から「人泊数(延べ宿泊者数)」を採用し、「量から質」への転換を図る。10年後の年間観光収入は第5次から1千億円増の1兆2千億円、人泊数4200万人を目指す。計画案は今後文言の最終調整に入り、月内に玉城知事による決定を経て策定となる。

 第6次振計案承認

 玉城知事は「新型コロナウイルス感染症の影響で、沖縄観光は厳しい状況から回復を図らねばならない。観光はリーディング産業。観光の復活なくして、経済の回復再生はあり得ない」と述べ、実効性ある取り組みを推進する考えを強調した。

 第6次計画は、玉城知事の諮問を受けた県観光審議会(会長・下地芳郎沖縄観光コンベンションビューロー会長)が21年9月から審議を重ね、今年5月に計画案を「適切」と答申している。

 計画案は「世界から選ばれる持続可能な観光地」を将来像に据える。(1)社会(2)経済(3)環境―の三つの目標値を設定。SDGs(持続可能な開発目標)の観点を取り入れ、調和の取れた沖縄観光の実現に取り組む。

 観光事業者(正社員・正規職員)20代の平均年収を280万、係長級以上で448万円を目標とし、リーディング産業として産業従事者の所得水準の底上げも図る。

 環境問題への対応では、再生可能エネルギーに対応する観光施設、アメニティーグッズ廃止を導入する宿泊施設、フードロス削減を推奨する施設をそれぞれ100カ所に広げるとした。

 持続可能で責任ある、誰もが楽しめる旅行を、観光客や地域住民が価値を共有しながら推進することで、安全安心かつ快適でSDGsに適した観光地づくりを実現させる。情報通信技術を活用した観光デジタルトランスフォーメーション(DX)を促進することで、効率化や競争力を強化することにしている。
 (小波津智也)