那覇軍港にオスプレイ飛来、米軍は「『5・15メモ』に準拠」と主張 県は「厳格運用」求める


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那覇港湾施設内に着陸したMV22オスプレイ=6日午後0時45分ごろ(大城直也撮影)

 那覇港湾施設(那覇軍港)での航空機運用を巡って、県はこれまでも危険性を指摘して反対してきた。米海兵隊は今回の飛来について、日米が沖縄の日本復帰時に在沖米軍基地の使用主目的を定めた「5・15メモ」に「準拠する」と主張。海兵隊が日米合意を示して正当性を喧伝(けんでん)したことで、軍港での航空機運用の常態化は懸念が増す一方だ。

 在沖米海兵隊は昨年11月、本国に輸送するためにオスプレイやヘリを那覇軍港に着陸させた後、船に積み込んだ。その後、運び出した機体の代替機を船から陸揚げし、軍港から離陸させた。県は「これまでになかった運用」とし、関係機関に抗議している。

 在沖米海兵隊は今年2月も、オスプレイなどを軍港で離着陸させている。この時は航空機を使って「非戦闘員避難」などを目的に武装隊員の収容や輸送などをした。

 「5・15メモ」では那覇軍港の使用主目的を「港湾施設および貯油所」と規定する。県はこの訓練に対して「メモの使用主目的に沿った厳格な運用」を求め、航空機の離着陸や訓練をしないよう関係機関に求めた。米軍が今回の飛来を「5・15メモ」を引き合いに正当化したのは、こうした経緯が念頭にあるとみられる。

 米海兵隊はオスプレイの沖縄配備前の2012年にまとめた「環境レビュー」で、オスプレイによる使用が検討される着陸帯として69カ所を挙げたが、一覧に那覇軍港は含まれていない。県や那覇市は軍港が那覇空港に近接していることなどから航空機運航や観光客への影響・危険性を指摘してきた。今回の飛来を受け、県関係者は「陸路輸送など代替手段が検討できなかったのか」と疑問を呈した。 (塚崎昇平)