比例代表は「タレント候補」が多い? 高い知名度で政党票の上積み図る<ありんくりん参院選>


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 参院選では、いわゆる「タレント候補」といった知名度の高い人物が比例代表に出馬する傾向にある。県出身者でもこれまで歌手の喜納昌吉氏らが当選している。背景には、参院選特有の比例制度の仕組みがあり「タレント候補」が出馬しやすい素地があるとみられる。

 参院選の投票所には2つの投票箱がある。各都道府県(一部合区あり)ごとの「選挙区」と、全国を一つの選挙区とみなす「比例代表」の両方に投票用紙を投じるためだ。選挙区では上位の票を獲得した候補者が当選し、比例代表では政党の得票数に応じて各党に議席が割り当てられて当選者が決まる「ドント方式」が採られている。

 比例代表があるのは参院選、衆院選とも同じだが、衆院選の比例は名簿順位があらかじめ決まっている「拘束名簿式」で、参院選は名簿順位が決まっていない「非拘束名簿式」が採られている。衆院の比例は政党名しか記載できない。

 一方、参院の比例は政党名のほか、政党所属の比例代表候補者の名前も投票用紙に書くことができ、その分も政党の獲得票にカウントされる。

 そのため比例に知名度の高い候補者を擁立し、比例の政党票の上積みを図るという戦術が有効になる。

 名簿で順位が決まっていないため、優先的に当選が決まる「特定枠」以外は得票数が多い順に当選が決まっていく。「タレント候補」が多くなるのはこのためだ。

 比例代表は全国が舞台になるという特性上、組織力も重要になるため、業界団体から推薦される候補者も多い。
 (’22参院選取材班)