復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉6月10日「公共事業 第1次計画を発表」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年6月10日の琉球新報1面は、「公共事業第1次計画を発表/県の執行体制整う/建設・運輸・農林省関係、大幅な道路改修など/厚生関係など来月中旬に」との見出しで、沖縄開発庁が沖縄の公共事業費のうち第1次実施計画を決め、沖縄県の事業執行がいつでも開始できる体制が整ったことを伝えている。水資源開発として「安波川、普久川、新川の北部河川にダムを建設するための実施設計にはいる」と紹介、運輸関係では「既存の那覇商港や泊港、那覇新港を含めた那覇港の整備に力を入れるほか、沖縄海洋博会場設定にそなえて重要港湾に指定されている運天港を、一万トンクラスの大型船が接岸できるよう拡張、また渡久地港も予備港として整備する。地方港湾も一島一港の整備を急ぎ、また沖縄で初の海水油濁防止事業が那覇港で行われる。一方、空港整備事業は、安全施設の強化に重点をおくが、那覇空港は、全面返還が遅れたため、当初計画していた同空港整備のマスタープランを実施することができなくなった。この計画では、滑走路を延長し、空港中央部に空港ターミナルビルを移し、駐機場も広げることにしていたが見送り。滑走路を現在の3千メートルから4千メートルに広げ、将来のジャンボ乗り入れにそなえることになった」と記している。

 選挙関連の記事では「〝とも食い〟を警戒/県議選告示まであと3日」との見出しで、既にスタートしている知事選と県議選とのセット戦術のあり方にさまざまな思惑があることを紹介している。

 選挙のこぼれ話の選挙レーダーは「あの手この手で引きつけ戦術」との見出しで、候補者の気をひくための各陣営の工夫を列挙している。

 このほか、来日したキッシンジャー米大統領補佐官と佐藤栄作首相との会談が予定されているとの紹介記事に加えて、「米軍駐留など説明へ/キ補佐官との会談で語る」との見出しで、福田赳夫外相が参院沖縄・北方特別委員会でキッシンジャー補佐官との話し合いについて「交渉は一切ないが、沖縄を含めた米軍の駐留のあり方、事前協議やベトナム戦とわが国の関係などを当然説明することになろう」と述べた記事も紹介している。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。