2020年3月末に国際線が全便運休して以降、国際線旅客機発着ゼロが続いている那覇空港。岸田文雄首相は6月中に那覇空港の国際線発着を再開すると発表した。しかし再開には検疫体制の整備や、航空会社のスタッフ確保、旅行会社の準備など多くの課題を解決する必要がある。
旅行会社はインバウンド受け入れ再開に向けて準備を進めている。沖縄ツーリスト(OTS)は、8月頃の再開を想定して、レンタカーの手配や整備を進めている。水際対策緩和により観光客だけではなくビジネス客の需要も増えると予想する。レンタカー部予約課の大城伸二課長は「少しずつ外国語サイトからの予約も入ってきている」と話した。9月以降にはアジア方面からのチャーター便の問い合わせも入っているという。
外国人客は旅行会社などの受け入れ先がないとビザの取得ができないため、インバウンド専門のEGL OKINAWAは入国者健康確認システム(ERFS)に登録するなどの準備を進めている。
羽田などの主要空港から国内線で沖縄を観光客が訪れることも想定されるが、国内大手旅行会社の担当者は「今のところ、沖縄行きツアーの予定はない」と話した。
懸念ない
那覇検疫所は、新型コロナウイルスの感染が拡大した20年以降、週3~4人程度を羽田空港など国際線を受け入れている他空港に派遣していた。那覇空港の国際線再開の発表を受け、人員を呼び戻しているという。
現在の人員は50人程度で、コロナ禍前の2年前よりも1割程度増えている。今のところ人員不足の懸念はないという。
現在は入国の際の検査場所や動線の確保、また陽性者が出た場合のホテルや県内の病院の確保を急いでいるという。
2万人
6月から、1日当たりの全国の入国者数上限は2万人に引き上げられた。国土交通省によると、海外航空会社に対して月~木曜は1機につき190席以内、金~日曜は同160席の制限を設けている。「2万人」はビジネス利用も含み、観光目的の入域客の割合や、各空港にどう配分されるかは決まっていない。
韓国の航空会社の関係者は「2万人の内訳がわからないと、運航スケジュールが立てられない」と指摘する。
那覇空港国際線の保安検査機器は、使用する航空会社で料金の一部を案分するため、就航する会社が少ない場合はコロナ禍前の約2倍に跳ね上がることも考えられ、コスト面の課題も残る。スタッフがどの程度戻ってくるかの見通しも立たず、人材確保の進ちょくも再開時期を左右する可能性がある。
(與那覇智早)