うちなーぐち継承工夫 宮城葉子さん「通貨」通じて、より興味深く


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ドル紙幣、B円を手に思い出などを語る宮城葉子さん=1日、うるま市

 うちなーぐちによる童唄研究家で「てぃーだぬふぁー童唄会」主宰の宮城葉子さん(65)=うるま市=は子どもたちにうちなーぐちを教え続けて30年以上になる。「どうしたら子どもたちが分かりやすいか」。数え歌に「一貫」など通貨単位を交えたり、復帰前に使った1ドルのエピソードを交えたりして、世替わりと同時に変遷した通貨を通じ、沖縄の文化や歴史を次世代につなごうと試行錯誤する。

 1956年生まれの宮城さん。出生当時、沖縄で使われていたのはB円だった。自身で使った事はなかったが、幼少期に「前はB円を使っていた」と母に教えてもらった。

 58年から沖縄の日本復帰まではドルが法定通貨となった。「1ドルあれば那覇に出掛けて沖縄そばも食べられた」。現在は1ドルが130円前後だが、当時は具志川から那覇まで出掛けても十分遊べるほどの価値だったと振り返る。

 宮城さんはこんな体験談を講話などに盛り込む。さらには、童唄にも工夫を凝らす。

 数え歌の「てぃーたーみーゆう(ひとーつ ふたーつ みっつ よっつ)」に「一貫(2銭)」という歌詞を織り交ぜ替え歌にして、明治期に使われた2銭を童唄として紹介する。

 「自分も子どもの頃は、『ゆっかぬひー』とかいみくじ分からなかった」と語る宮城さん。子どもの頃は沖縄の文化や歴史を知らなかったが、実際に体験するなどして自分の言葉で語れるほど詳しくなった。同じようにうちなーぐちに興味を持ってもらうため、身近な通貨を通して沖縄の歴史や文化に興味を持ってもらおうと知恵を絞っている。 (仲村良太)