復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉6月16日「知事、県議選終盤へ」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年6月16日の琉球新報1面は、「キャセイ航空機が墜落/南ベ(プレーク)で空中分解?/81人乗り、全員絶望/観光団など日本人は17人」との見出しで、シンガポール発バンコク経由香港行きのキャセイ航空700便が、南ベトナム中部のプレーク南東出墜落した事故を伝えている。日本人も17人が搭乗していたという。空中分解して墜落したといい、事故原因については「不明」と伝えているが、記事ではさらに「キャセイ航空機の事故が最初に伝えられた空中衝突でなかったとしても〝戦場上空〟という事情が、事故原因に何らかの関連がある可能性は十分あると当地ではみている」と指摘している。

 関連で隣には「行方不明の米軍機なし/サイゴンの米軍当局語る」との見出しで、米軍発表として米軍機の行方不明機はないとの発表を掲載している。記事では注釈として「これは事実上、同日キャセイ航空機と衝突したと伝えられる他の1機が米軍機であるとの説を否定したものである」と付記している。別記事では搭乗の日本人については「12人は群馬県の観光団」と伝えている。

 さらに14日にインドのニューデリー空港近くで墜落した事故の続報として「原因は依然不明」と伝えている。

 知事線関連では「知事、県議選終盤へ/決起大会で体制固め」との見出しで、選挙戦が終盤に入ったとの記事を掲載している。

 選挙関連では「選挙レーダー」で「そろそろ〝ウルトラC作戦〟も」との見出しで、「双方とも同作戦はマル秘にしているため、参謀以外は運動員にすら知らされていない」と伝えている。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。