復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉6月19日「知事選・県議選、浮動票獲得に懸命」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年6月19日の琉球新報1面は、「県知事・県議選/各陣営、浮動票獲得に懸命/該当遊説に主力/弱点地域へテコ入れも」との見出しで、選挙戦終盤の支持拡大に向けた各陣営の取り組みを紹介している。

 この日の「選挙レーダー」は「連呼にセカセカ、師走と錯覚」との見出しで、「〝盛り上がらぬ〟選挙といわれた知事選だが、さすがに終盤ともなれば当事者も有権者もいらだちにかられた様子。二つの選挙で両陣営、各候補が入り乱れての連呼合戦につられて、道行く人々もついソワソワ。(中略)連呼合戦は、浮動票をくすぐって、手ごたえがあったようだ」と記している。

 沖縄の米軍基地が沖縄の日本復帰とともに在日米軍に組み入れられ、部隊など再編の動きを紹介する記事も掲載し「基地の再編強化か/第2兵たん、ヘリ専門部隊設置へ」との見出しで報じている。記事では「ベトナム戦の激化に伴う再編だ」との全軍労の見立ても紹介している。

 自民党のポスト佐藤栄作をめぐる党内派閥の動きについて「主流派の抗争激化/本格化した各波の工作」との見出しで暗躍する各波の動きを紹介している。さらに関連記事では「3者の個性浮き彫り/『三大中』演説コンクール」との見出しで、三木武夫、大平正芳、中曽根康弘の3氏の「三大中」の演説の様子を伝えている。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。