県民の食卓支える、沖縄・輸入品50年の推移 ポーク、常に需要/マーガリン、全国の6割占める


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 沖縄地区税関は、本土復帰特集として50年前と現在の輸入を比較したデータを発表した。1973年の輸入額は1052億円で990億円の輸入超過だった。2021年の輸入額は1265億円で815億円の輸入超過となった。古くから輸入が行われている品目として、丸太、ポークランチョンミート、マヨネーズ風調味料、マーガリンの50年間の推移を公開した。

 丸太は製材やベニヤ板に加工するために、フィリピン、インドネシアなどから輸入された。戦後の復興資材や1975年の沖縄国際海洋博覧会関連施設、92年に復元された首里城の建材として重要な品目だった。

 1979年に102億7500万円とピークを迎えたが、その後は減少傾向で推移し、加工された製材の輸入に移行したこともあり2008年以降はほとんどなくなった。森林保護を目的とした東南アジアの輸出規制があったほか、インドネシアで国内産業育成のために、丸太の輸出を禁止したことが背景にある。

 ポークランチョンミートはアメリカ統治下時代に県民の食文化に定着し、現在でも安定した需要がある。2021年の総務省の家計調査(総世帯)では、「他の加工肉」の支出額は全国平均2474円に対し、沖縄は5651円と倍以上の差がある。戦後、冷蔵庫のない時代に保存のきく缶詰が重宝されたこと、豚肉文化のある沖縄になじみやすい味であったことが定着した理由だとしている。新型コロナ禍でも、調理が手軽でストックできる食品として巣ごもり需要があった。

 1974年に過去最高の30億3400万円を記録し、2021年は30億2300万円と過去2番目に高い数字となった。今後は土産品やポーク卵おにぎりとしての消費拡大が期待できることから、輸入はさらに増加すると見込んでいる。

 沖縄に根付くアメリカの食文化として、マヨネーズ風調味料も挙げられる。マヨネーズ風調味料を含む「その他のソース」は1972年に8700万円、82年には過去最高の5億200万円を記録した。新型コロナの影響を受け、昨年秋以降は海外工場の稼働停止のため輸入ができず、再開のめども立っていない。

 マーガリンも県民に浸透している。1984年に過去最高の1億2700万円を記録。2021年は全国の輸入額の62・8%を沖縄が占めている。バターと比べて価格が手頃なこと、古くから親しまれており味に定評があることなどを挙げている。
 (與那覇智早)