伊江島ジーマミ、22年度8トンに急拡大 地域おこし隊ら振興 那覇で飲食業者にPR


社会
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伊江村産落花生は風味が豊かで、村内では日常の食卓に取り入れられている

 伊江村の特産品である落花生(伊江島方言でジーマミ)の2022年度生産量が8トンを超える見込みであることが22日、分かった。過去10年は1~3トン台で推移し、8トンを超えれば1998年以来24年ぶりの生産量となる。同村では19年から「地域おこし協力隊」の中村慎吾さん=千葉県出身=を中心に生産振興を強化しており、着実に出荷量を伸ばしている。21日には消費拡大と販路開拓を目的とした初の宣伝会を那覇市内で開き、飲食店や仲卸業者にPRした。

 伊江村では100年以上前から各家庭の畑で落花生を生産しているが、多くは自家用で、出荷用としては毎年数百キロ程度だった。これまで出荷用の生産が広まらなかった背景には(1)機械化が進まないなど大規模な作付けがしづらい(2)出荷までの手間がかかる(3)大規模栽培と安い人件費で作る外国産との価格差が大きい―などが挙げられる。

 県外の農業分野のコンサル会社でマーケティングをしていた中村さんが2019年、伊江村初の地域おこし協力隊に就任したのを機に、落花生の本格的な生産振興が始まった。まずは生産農家を増やすため栽培の協力者を募り、種を配布することから始めた。

 21年から、ネックになっていた手間を解消するため、落花生のさやもぎ機や殻割機などの機械を導入した。商品として出荷できる状態までの処理を行う1次加工工場を試験稼働し、畑と出荷作業の分業体制を構築することで農家の負担軽減と出荷量の拡大を図った。

飲食店や仲卸業者に伊江村産落花生を売り込む中村慎吾さん(左から2人目)=21日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるる

 21日の宣伝会では伊江村生活研究会が来場者に「ニガナの落花生和え」や「ジーマミ豆腐のおから炒め」など伊江村で親しまれている家庭料理を振る舞った。

 中村さんは、島内でも落花生を原材料にした商品が多数あるが、島産の生産量が追い付かず外国産を使っているものも少なくないと指摘。「5年以内に30トンを目指し、販路拡大も強化したい」と意気込んだ。  (当銘千絵)