復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉6月28日「全軍労、あす前面スト」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年6月28日の琉球新報1面トップは、「革新県政の確立に万全/協力体制を強化/屋良知事、きょう与党側と協議/自民、県連立て直し図る」との見出しで、知事選を終えて誕生した屋良朝苗知事の沖縄県政の始動を伝えている。記事の前文は「知事、県議選が終わり、政局は新議会、新県庁首脳人事、それに自民党の体制立て直しに向けて動き出した」と記している。

 そのそばには「全軍労、あす48時間全面スト/首切り撤回『反合』で」との見出しで、復帰後に日本政府からの間接雇用に移行してから初めてのストとなる記事を掲載している。記事では「復帰後、陸軍クラブ関係170人、スペシャルサービス97人、陸軍関係財政部69人、軍映画館2人、計338人に解雇予告が通知され、7月6日から10日の間に解雇される。従来解雇予告期間は45日ないし60日だったが、こんどからは30日前になっている。そのほか空軍でも26日、29人の解雇予告が通知されている」と解雇予告の詳細を伝えている。

 日本国内の中央政局として自民党総裁選を巡っては「田中陣営は自信/中間各派、一両日中に態度決定」との見出しで、田中角栄氏が支持を集めているとの情勢を伝えている。さらにそばの記事では「激化する多数派工作/中間派にナダレ現象?」との見出しで、動向を握る中間派の動向を詳しく報じている。

 このほかベトナム戦争の米政府の認識を暴露させた国防総省の秘密報告(ペンタゴン・ペーパーズ)の関連で、既に出ている47巻のうちまだ秘密になっていた4巻をワシントンポストが公表したとの記事を「〝秘密交渉〟すっぱ抜く」との見出しで伝えている。記事では「第1面から4ページにわたってぎっしり掲載されたこの〝秘密和平交渉報告〟は、1964年から68年までジョンソン政権の北爆の下で、11回にわたりさまざまなルーとを通じて行われ、失敗した秘密交渉の経過とその分析をまとめている」と詳述している。

 

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。