「肌色」クレヨンとアップデート 那覇・南部班 吉田健一


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written by 吉田健一(那覇・南部班)

 先日、子どもと一緒にクレヨンでお絵かきしている時にある色に目が留まった。「うすだいだい色」。1990年代前半に小学生だったわたしはそれを「肌色」と呼んでいた。肌色クレヨンがなくなったというのは聞いたことはあったが、実際に目にするのは初めてだった。

 調べてみると、肌色クレヨンが姿を消したのは99年から2000年にかけて。多様な肌の色が存在する中、画一的な肌色クレヨンに「差別的だ」との批判が集まったのが主な理由だそう。なるほど、時代はアップデートしている。

 好むと好まないとにかかわらず言葉や価値観は変化する。しかし、年齢を重ねるとなかなかその変化についていけない。わたしは今でもサッカーのアディショナルタイムをロスタイムと言ってしまうし、アーティスティックスイミングはシンクロと呼んでしまう。

 記者として言葉の表現に気を付けているが私生活はうまくいかないことも。ただ、時代の変化についていけないからといって他者を攻撃したり、無関心であったりすることは恥ずべきことだ。

 とりわけ「性の多様性」に対して無知であったり、無関心であったりする人が多いと感じる。昨年、パートナーシップ制度を導入した浦添市で宣誓証明書を交付された2人を取材した。周囲の偏見から同性愛者であることを隠し、もがいていた過去を語ってくれた。申し訳なさを思うと同時に、「今は幸せです」と語った時の笑顔に救われた。誰もが生きやすい社会にするには時代のアップデートが不可欠だ。新聞記者としてその一助となれるよう努力したい。

(浦添市、西原町担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。