沖縄の6月景況感が大幅改善、マイナス4に 観光客や県民の外出増 日銀・短観


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 日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は1日、6月期の県内企業短期経済観測調査(短観)を発表した。業況判断指数(DI)は前回3月期調査から15ポイント改善しマイナス4となった。観光客や県民の外出が増加したことで経済が活性化した。15ポイントの改善幅は1979年2月以来の高水準。

 3カ月後の先行きは、さらに9ポイント改善してプラス5を見込む。プラスに転じれば、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年12月期以来11期ぶりとなる。

 飯島支店長は「資源価格の上昇が企業収益を下押しする懸念が強まっているが、沖縄では全体的に感染症の影響が和らいだことによる需要回復のプラス効果が上回っている」と分析した。

 21年度実績で、全産業の売上高は前年度比1・6%増、経常利益は同0・5%減だった。22年度計画では、売上高が同7・3%増、経常利益は同38・0%増と大幅な増益を見込んでいる。ただ、計画通りに増益した場合でも19年度比では7割強にとどまる。

 仕入価格は、「上昇」超幅が前回調査より21ポイント拡大しプラス57となった。販売価格は同12ポイント拡大しプラス26。先行きは仕入価格が横ばいの一方、販売価格は上昇超幅がさらに7ポイント拡大し33を予想する。飯島支店長は「仕入れの上昇分を全て販売価格に転嫁することは難しいが、過去に比べると今回はだいぶ転嫁が進んでいる」と話した。

 全産業の新卒採用計画は、20年度から3年連続で前年度割れが続いていたが、23年度は前年度比22・9%増を予測する。今後の需要回復を見越し、採用を増加させる企業が多いという。

(沖田有吾)