復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉7 月3日「海洋博、道路・空港で難航」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年7月3日の琉球新報1面は、日本の中央政局や国際ニュースでキャセイ機航空機爆発事故の続報などが大きく報じられている。沖縄県内ニュースでは、海洋博の関連公共投資の行方と県議会の人事の2本。

 海洋博関連の公共投資については「道路、空港で難航/新内閣に持ち越し」との見出しで、佐藤内閣での基本方針決定は決められず、次期新政権に持ち越されたことを伝えている。記事によると「政府としては、1日に屋良知事から提出された関連公共投資についての要請を含めて,再検討することになったが、この道路や港湾、宿泊施設の関連投資が海洋博を成功させうるかどうかのカギをにぎるだけに新内閣発足後、できるだけ早く関係閣僚協を開いて基本方針を決めたい考え」と記している。

 県議会人事については「自民、役員は出さぬ/与・野党の調整難航」との見出しで、委員長人事をめぐり与野党の攻防が続いていることを伝えている。

 このほか、トップには自民党総裁選の続報で「〝反福田連合〟で田中優位/自民総裁選最後の追い込み/潜行工作に自信=福田陣営/決選投票で有利=田中陣営」との見出しで田中角栄氏が優位に立っているとの見通しを伝えている。関連で「〝脱佐藤〟をめざす/『三角大』が合意内容発表」との見出しで、総裁選候補の田中氏と大平正芳氏、三木武夫氏の3氏の会談の様子を紹介している。

 またベトナム内でキャセイ航空機が墜落した事故をめぐって、タイ人乗客による爆弾の爆発によるものだったとする調査報告を伝える記事も掲載している。米軍機との衝突などが取りざたされていた。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。