豆記者、50年ぶり再会 本土と沖縄の交流懐かしむ


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50年ぶりに再会した1972年の豆記者ら

 沖縄が日本復帰した1972年、県外と沖縄を行き来して交流を深めた中学生の「豆記者」たちが6月25日、那覇市内で50年ぶりに再会した。東京や大阪など全国各地から27人が集まり、思い出話に花を咲かせた。

 復帰直後の72年の夏休みに、沖縄の中学生らが「豆記者」として全国各地を訪ね、地元の中学生との交流や現地の取材活動などを実施した。当時の天皇皇后両陛下や田中角栄首相など、国の要人に会う貴重な経験をした。冬休みには県外の生徒らが沖縄を訪ね、県知事訪問や戦跡巡りなどの日程をこなした。

50年前の豆記者が使った腕章や取材ノート、名刺

 今も続く「沖縄豆記者交歓会」(県豆記者交歓会主催)は、沖縄の日本復帰を願う東京の中学教師が、62年12月に東京都内から選ばれた豆記者を沖縄に派遣したことから始まった。72年に派遣された中学生は、同事業として初めてパスポートなしで沖縄を行き来した。

 50年間、年賀状のやりとりを続けるなど連絡を絶やさなかったメンバーもいて、今回の再結集が実現した。交流会では当時の腕章や取材ノート、名刺、写真などを持ち寄り懐かしんだ。現在は教員や薬剤師、公務員などさまざまな職に就いている。

 当時、堺市立金岡中学校の生徒だった平岡信之さん(63)=長野県=は「感激やね。ぱっと50年前に返った。沖縄がちゃんと復帰できていないんじゃないかということを、この50年間で知った。改めて僕らができることはないかなと考える機会になった」と話した。

  (中村優希)