ネットとホモフォビア モバイルプリンスの知っとくto得トーク[265]


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先月12日、雑貨店「東急ハンズ」の公式Twitter【※1】が同性愛者を侮辱するような文言を投稿し、批判が殺到しました。

「ゲリラ豪雨」と似た文字の「ゴリラゲイ雨」をネットユーザーたちが多数投稿し、Twitterでトレンド入り。その流れで「ゴリラゲイ雨が来たらちょっと困るけど、ゴリラゲイ雨を見てみたい気もする」などと投稿したのです。

 

※1 東急ハンズの公式Twitterアカウント … 東急ハンズの公式Twitterは企業のSNS運用についての本を出版し、フォロワー数は19.6万人もいる、日本でも有数の人気アカウントです。こうしたアカウントでさえも、少し気を抜くと差別表現を面白がってしまうため、言葉が持つ本来の意味をしっかりと考えることや、差別に関する知識も求められます。

 

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「ゲイ」は男性の同性愛者を指す言葉です。そして、この言葉だけですぐに「差別」になるわけではありません。

しかし「ゴリラ」とあわさることで、面白がってネットでトレンド入りすることで差別的なニュアンスがどんどん含まれていきます【※2】

東急ハンズは投稿をすぐに削除し「差別的な意図はなかった」と謝罪しました。「差別」を「いじめ」に置き換えると分かりやすいかもしれませんが、差別は意図が無かったからセーフではないですし、むしろ「意図せずにやってしまう」からこそ注意をしなければなりません。

 

※2 「ゴリラ」とあわさることで、差別的なニュアンスが含まれてきます … 過去にも、さまざまな差別で当事者を「動物」に例えてきた歴史があります。2018年にはファッションブランドH&Mが「ジャングルで最もクールな猿」とプリントされたパーカーを黒人の少年に着けさせて批判殺到、その後謝罪。2021年にはテレビ番組でアイヌ民族を紹介した際、芸人が「あ、犬」とネタを披露し、謝罪する事態になりました。

 

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同性愛者を差別したり、バカにしてからかったりすることを「ホモフォビア(同性愛嫌悪)」と呼びます。

ネット上では昔から「ホモフォビア」的なジョークやノリがあり、今回の「ゴリラゲイ雨」もその一種ですね。

ネットで流行っている言葉・聞き慣れない言葉があった場合、その言葉が生まれた経緯、どんな人がどんな風に使っているのかをしっかり調べた上で使わないと、差別に加担する可能性があります。

 

イラスト・小谷茶(コタニティー)

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。

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