金武の民家に「銃弾」なぜ? 早々と「関与外」を強調する日米 一方的な説明に地元は


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銃弾のようなもので割れたと思われるガラスを調べる県警の捜査員ら=8日午前9時3分、金武町伊芸(喜瀬守昭撮影)

 沖縄県金武町伊芸区の民家で見つかった銃弾のような物について、在沖米海兵隊は8日に関与を事実上否定した。沖縄防衛局も米軍キャンプ・ハンセン内の射撃場での安全対策を説明する資料を報道向けに示すなど、日米で早々に「関与外」を強調する動きがある。だが、県警による基地内捜査が進むかどうか見通せず、現時点では一方的な説明となる。原因特定までの訓練停止の要請に応じる姿勢もなく、国会議員から抗議の声が上がる。

 8日午前、県警はガラスが割れた民家で現場検証を実施した。この際、米軍の捜査関係者の姿も確認された。銃弾などを確認したとみられる。

 沖縄防衛局は7日、銃弾のような物が民家から確認された段階で報道発表を出したが、塀や網の破損がない点や、銃弾に「さびのようなものが見てとれる」など、疑問点を強調する内容だった。8日の発表でも、家人がガラスが割れるような音を聞いたとする6日に、現場から最も近い基地内の射撃場で訓練がなかったことを指摘した。

 県選出の国政野党国会議員でつくる「うりずんの会」は8日に嘉手納町の沖縄防衛局で小野功雄局長と面談し、原因究明までの間、キャンプ・ハンセンでの実弾演習中止を求めた。

 防衛局が報道発表で「さび」などを強調したことに、赤嶺政賢衆院議員は「県警の鑑定結果の前になぜ断定的な表現をするのか。あたかも今の演習とは関係ないかのような、印象操作ではないか」と指摘した。

 金武町も訓練中断を国に求める意向を固め、調整に入っている。仲間一町長は「住宅地で銃弾が飛ぶのはあってはならない。事実確認を進めたい」と取材に述べ、国や県警による調査の進展を注視する考えを示した。

 玉城デニー知事は8日、記者団の取材に「米軍の物かは判明していないが、(流弾事故は)あってはならないことは県民も心配している通りだ」と述べた。他方、訓練中止を求める意向について問われると「米軍の物か引き続き調査したい」とするにとどめた。

(塚崎昇平まとめ)