復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉7 月10日「B52飛び立つ、自由出撃への不安も」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年7月10日の琉球新報1面トップは、「自由出撃への不安も/B52飛び立つ/爆弾も摘む?」との見出しで、グアムから台風避難を理由に嘉手納基地に米戦略爆撃機B52が29機飛来してきたことの関連で、そのうちの17機が離陸していった続報を掲載している。記事では「一時的な撤退なのか再度舞い戻ってくるのかどうかは明らかではないが、今回の飛来を機に事前協議制の空どう化や沖縄基地からの自由発信などをめぐって大きな論議が巻き起こることが予想される」と指摘している。

 関連記事で「〝避難なら仕方ない〟田中首相」と、就任したばかりの田中角栄首相が、B52の嘉手納への飛来を容認する姿勢を示したことも伝えている。これに関連して「佐藤前政権同様〝本土の沖縄化〟による事前協議制の空どう化がいよいよ問題視されるに至っている」と記している。

 さらに沖縄側の動きとして「県議会、抗議へ/臨時議会開き対策協議」との見出しで抗議決議の動きが出ていることを紹介している。

 田中新政権の動向では「日中打開に積極姿勢/政府、平和条約締結の意思表示も」との見出しで、外交の最大の課題となっている日中国交正常化の実現に向けた対策の策定に入る考えだと伝えている。さらに中央政局に関連した別の記事では「十月解散はない/田中首相、政局で語る」「各党、衆院選に動く/年内解散に対処/自民県連に危機感」との見出しで、年内解散に向けた警戒感も掲載している。

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。