「雨たぼりよ、たぼり」 手にハジチ、草の冠 女性たちが雨乞いの儀式を再現 うるま市


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明治時代まで行われていたとされる雨乞いの儀式を再現するうるま古謡研究会のメンバーら=6月25日、うるま市田場

 【うるま】明治時代まで具志川間切(現・うるま市)で行われたとされる雨乞いの儀式がこのほど、うるま市田場で再現された。再現したのは、うちなーぐちによる童唄研究家の宮城葉子さん(66)らうるま古謡研究会のメンバー7人。しるじん(白装束)と草の冠を身にまとった神に仕えるノロの姿で、同地域で歌い継がれてきた雨乞いの歌などを披露した。

 神歌などを研究する宮城さんは、具志川間切の雨乞いの儀式が書かれた文献を発見。再現を通して後世に歌や儀式を伝えようと、研究会メンバーと練習を重ねた。本番は、明治12(1879)年生まれの江洲出身の仲村ナビさんが施していたというハジチも再現した。

 儀式の最初は御嶽に向かい、具志川で歌われた神歌をウタカビ(祝詞)として唱えた。「雨たぼりよ、たぼり」と雨を祈願する内容だ。

 ウカタビの後は、竹が入った水おけの周囲を回りながら、浦添で伝わる「竜王がなし(雨たぼり)」を歌った。その後竹を手にし、おけの水をまき散らすように竹を左右に揺らしながら、津堅島で歌われたとされる「雨乞いくぇーな」を歌い、儀式を終えた。

 宮城さんによると、具志川間切の雨乞いの儀式は7字から各1人のノロが集まり開かれたとされる。雨が降らない日が続くとノロが集まり、儀式の日取りを話し合った。

 宮城さんは「廃藩置県の後、神行事が減り神歌もなくなっていった」と説明し、「かつて神女たちがいろいろな祈りをささげてきて、今の私たちがいる。忘れてはならない歴史で、後世に歌を残していきたい」と話した。
 (石井恵理菜)

ノロの格好をして雨乞いの歌を歌いながら水おけの周囲を回る、うるま古謡研究会のメンバーら=6月25日、うるま市田場
江洲出身の仲村ナビさんのハジチも再現した