石垣市で過去最多327人感染…八重山保健所管内は連日200人前後 県立八重山病院で外来制限、院内クラスターも


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新型コロナ感染者の急増で対応に苦慮する県立八重山病院=12日午後、石垣市真栄里

 【石垣】県内の新型コロナウイルス感染者が3436人と過去最多を更新する中、県が「コロナ感染拡大警報」を発出した八重山圏域では病床使用率が81・8%と医療提供体制が逼迫(ひっぱく)している。石垣市では同日、過去最多の327人を記録した。八重山保健所管内では、今月に入り200人前後の新規感染者が確認される日が続いており、県対策本部は「本島より先に八重山の医療体制がパンクしそうだ」と危機感を持って対応している。

 八重山圏域では、直近1週間の新規感染者数の前週比が2・30倍と急増する中で、石垣市の県立八重山病院でクラスター(感染者集団)が発生した。11日までに入院患者4人、職員2人の感染を確認した。

 同病院は、病床の確保や重症者への医療体制を維持するため、業務継続計画(BCP)を発動した。11日から当面の間、緊急性が低い検査や予定手術など、一般外来の診療を制限している。医療者も感染などで欠勤し、介護を必要とする入院患者への介助などで防護服の着脱回数も増え、現場の看護師からは悲鳴も上がっているという。

 県によると八重山圏域では、中等症以上は県立八重山病院、軽症以下は民間病院で受け持つ体制で、中等症以上も増え始めた。八重山病院の担当者は「さらに中等症以上の入院患者が増えると、介護が必要で入院を希望する患者でも、入院できなくなる恐れがある」と、一般医療の逼迫も危惧する。

 八重山保健所も業務を一部制限しており、新規感染者への連絡業務は、高齢者や重症化リスクの高い人を優先的に行わざるを得ない状況となっている。それでも業務が追いつかず、自宅療養者から不満の声が寄せられているという。流行の終わりが見えない状況に、保健所の担当者は「対応が必要な人に速やかに連絡するための措置だ」と理解を求めた。 (西銘研志郎、嘉陽拓也)