対馬丸碑に平和誓う 犠牲者多い垣花小で除幕式


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除幕された「対馬丸平和のモニュメント」に向かって手を合わせる児童たち=13日午後、那覇市山下町の垣花小学校(小川昌宏撮影)

 1944年8月22日に米潜水艦に撃沈された対馬丸の事件を次世代に引き継ごうと、対馬丸記念会(高良政勝代表理事)は、沖縄県の那覇市立垣花小敷地内に記念碑「対馬丸平和のモニュメント」を設置し、13日に除幕式を開いた。高良理事は「後輩が、亡くなった先輩たちの夢や希望を引き継いでくれることを願う」とあいさつし、建立を喜んだ。

 記念碑は台座に対馬丸の船体がかたどられ、犠牲者の氏名と当時の年齢が刻印されている。対馬丸に乗船した子どもたちからのメッセージとして制作された詩「平和の約束」の一文も刻まれた。

 碑の設置は読谷村立古堅小に次ぐ2校目で、犠牲者の多い那覇市内では初めて。垣花小の前身・垣花国民学校は学童101人、引率教諭ら8人が犠牲となった。記念会の提案で昨年から建立の計画が進められてきた。

 除幕式には、5、6年生80人と遺族らが出席した。児童を代表して6年の比嘉凛奈さんが「建立をきっかけに、一人一人で平和の和を広げていきたい」と決意を述べた。1~4年生はオンラインで式典を見守り、下校時に碑の前を訪れて手を合わせた。

 式典には生存者も出席。事件当時10歳だった上原清さん(88)=うるま市=は「慰霊碑ではなく、未来の平和を願う碑にしてくれたことがうれしい」と話し、式典後に自作の琉歌を碑の前で読み上げて建立を喜んだ。 (新垣梨沙)