字幕電話、商用化へ アイセック、ネクストジェン 聴覚障がい者に きょうから実証実験


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 聴覚障がい者ら、聞こえに不自由さを感じる人向けの即時文字通訳サービスを展開するアイセック・ジャパン(うるま市、一瀬宗也社長)は、電気通信事業者のネクストジェン(東京、大西新二社長)と協業し、15日から字幕電話の実証実験を始める。10月1日からの商用化を目指しており、全国初の取り組みとなる。9月30日までの実証期間に無料(通信料金除く)のモニター500人を全国から募集し、商用化に向け改善を図ることにしている。

聴覚障がい者向け字幕電話の実証実験を発表する、アイセック・ジャパンの一瀬宗也社長(右)とネクストジェンの大西新二社長=14日、県庁

 字幕電話とは、通話する際に相手の話す内容をスマートフォンやタブレット端末などに文字で表示するサービス。欧米では手話や文字よりも利便性が高く普及が進んでいるとされ、アイセック・ジャパンとネクストジェンの2社で開発を進めてきた。

 利用者の声が相手に直接聞こえ、相手の話した内容はオペレーターや音声を認識する人工知能(AI)を介して利用者のスマホに文字が表示される。商用化した場合、利用料金は月額3千円以内を想定する。オペレーターはアイセック・ジャパンが県内で採用しており、サービスが普及すれば、今後雇用の拡大も検討する。

 日本では2021年7月に公共サービスとして「電話リレーサービス」が始まった。手話通訳を介したり文字入力によるチャットで耳の聞こえづらい人と聞こえる人のコミュニケーションを可能にするものだが、手話やチャットに慣れない人にとっては十分な支援が行き渡らないという課題があった。

 14日、県庁で開かれた会見で一瀬社長は「初年の利用者として千人は達成したい。障害者手帳を持つ人だけでなく、聞こえづらいと感じる人も含めてモニターになってもらい、商用化に向けて改善していきたい」と話した。問い合わせは(電話)098(923)2895。 (小波津智也)