復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉7 月16日「沖縄の自衛隊 きょう『派遣隊』に名称がえ」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年7月16日の琉球新報1面トップは、「四次防、予定通り8月末メドに策定/増原防衛長官が方針/新機種の購入、凍結解除を急ぐ/日中復交問題からみ慎重論も」との見出しで、先の国会で計画内容を先取りした形での予算案計上で問題視されて揺れていた第四次防衛力整備計画(四次防)が8月末をめどに策定される予定であることを報じている。

 自衛隊関連では、沖縄の自衛隊配備にからみ「自衛隊沖縄施設管理隊/きょう『派遣隊』に名称がえ/本隊受け入れに本腰」との見出しで、沖縄に配備され始めた部隊「施設管理隊」が16日から「派遣隊」と名称変更して、10-11月にかけて派遣される本隊に備えた部隊性格の変更だと伝えている。記事では今後の展開について「自衛隊は今年末に2930人まで沖縄配備の隊員を増強する予定で配備計画を進め、10、11月ごろには陸上自衛隊『第1混成群』(隊長・桑江良逢一佐=沖縄出身)の本隊要員およそ300人がさらに配備されるほか同時期に航空自衛隊F104J18機、レーダー部隊などが配備される予定。今年末までに沖縄配備部隊の陣容を整える計画」と記している。

 田中内閣へのあいさつでB52米戦略爆撃機の再飛来拒否などを要請してきた屋良朝苗知事が帰任し「計画具体化で詰めへ/屋良知事帰任/政府は海洋博に意欲」との見出しで、海洋博開催に向けた政府との折衝などについて紹介している。

 創立50周年を迎えた日本共産党の記念式典を伝える記事では「〝米帝国主義を美化〟/宮本共産党委員長/式典で中ソを批判」と見出しを掲げている。

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。